生物医学ビッグデータから、ヒト疾患・形質の成因、発生機序の解明を目指す
生命機能は、一般に、内因(共通の生命過程と個人の特性)と外因(社会基盤を含めた環境)との相互作用により規定され、その綻びが顕在した状態を「病気」と捉えることができます。次世代シーケンサーと呼ばれる高速DNA塩基配列決定装置などが普及するにつれ、個々人のゲノム情報を比較的容易に取得することができるようになり、ゲノム情報の個人差・集団間差と、様々な疾患や形質との結びつきを明らかにすることが可能となってきました。また、ゲノム情報の個人差に加え、ライフスタイルや環境に関する差異も考慮した新たな医療・予防の開発、すなわち、個別化医療(personalized medicine)や精密医療(precision medicine)の実現も求められています。
私たちの分野は、ヒト多様性の観点から、種々の疾患・形質の成因、発生機序を理解することを目標に研究を行っております。個々の患者における疾病原因や発症機序は非常に複雑であるため、網羅的な生体分子情報と生活環境情報との統合解析(オミックス解析)を駆使してその複雑さを解きほぐし、病態解明を目指します。このような研究から得られた知見は、各疾患に対する新規治療法のみならず、あらたな診断・予防法開発のための根拠を与えると期待しています。
(金沢大学大学院医薬保健学総合研究科Bulletin2016より)
Recent high-throughput technologies such as next-generation sequencing and the resulting large-scale and multi-dimensional ‘omics’ datasets allow us to portray comprehensive landscapes of genomic and epigenomic alterations associated with human diseases and traits, and further identify the disease-related genes and pathways, which could help facilitate the development of novel diagnostic, therapeutic and preventive strategies.